徹底分析シリーズ すべての人に適切な医療を—こころの病気がある人に麻酔科医ができること
小児病院のコンサルテーション・リエゾン—周術期の支援で,再トラウマ化を防ぐ
田中 恭子
1
Kyoko TANAKA
1
1国立成育医療研究センター こころの診療部 リエゾン診療科
pp.888-893
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202645
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子どものコンサルテーション・リエゾン(CL)とは,子どもを主体とし,子どもの療養に影響する可能性をもつ心理社会的要因に働きかけ,エンパワメントし,調整を図るものである。その中で精神医療に求められる役割は多岐にわたる。精神疾患のある患者の身体疾患の治療の際には,家族支援,手術や治療薬による精神症状,心因性と思われる精神症状のアセスメントとケアはCLの対象である。さらに,自傷,自殺念慮,薬物乱用,身体症状を伴い遷延する不登校などもCLの対象である。虐待やネグレクトを受けていると疑われる小児に対しては,院内対策員会を通じた児童相談所等への通告の検討と並行して,その子の精神症状や保護者の心理社会的アセスメントなどを行うこともCLである。
本稿では,子どものCLについて概説したうえで,周術期に関わる麻酔科医に特に知っておいてほしいメディカルトラウマとトラウマインフォームドアプローチについて述べる。周術期に麻酔科医による子どもと家族への支援が行われ,疾患を抱えながら自立していく子どもの一つの保護要因(エンパワメント)につながることを期待する。
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