症例ライブラリー 術中の頻脈
巻頭言
谷 真規子
1
1岡山大学学術研究院医歯薬学域 麻酔・蘇生学
pp.563
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202551
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術中の頻脈の発生頻度について,古くは35〜45%と報告1)されている(現在はもっと頻度は低いと考えられるが)。麻酔科医が頻繁に遭遇する症候の一つであることから,その診断と治療に精通しておく必要がある。そうはいっても,臨床で経験する術中の頻脈のほとんどが,手術侵襲に対する麻酔深度の相対的な不足や血管内容量減少や手術操作による直接的な心臓への刺激によって起きており,麻酔深度や輸液量の調整,手術操作の中断で軽快する。では,これらの対応に反応しない難治性頻脈だったら,皆さんは自信をもって鑑別診断を挙げて対処していくことができるであろうか? その場での精査が容易でないことを理由に,とりあえず調律と脈拍数の診断/コントロールを行って血行動態の安定化を図るに留まっていないだろうか。ここで今一度,頻脈の鑑別について考えておきたい。
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