徹底分析シリーズ 日帰り手術の麻酔
医療経済と日帰り手術—日帰り手術クリニックのリアル
金谷 憲明
1
Noriaki KANAYA
1
1医療法人札幌手術センター 札幌麻酔クリニック
pp.360-364
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202496
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社会保障費は,日本の歳出項目の中で最も大きく,歳出全体の3割以上を占める(図1)。これは,すでに大きな負担となっており,今後も少子高齢化が進んでゆく日本で大問題となることは容易に予想される。社会保障費の内訳は大別すると,①年金,②医療,③介護となる。このうち,年金は制度改革が比較的容易であり,全国民が加入する生命保険的なものであり,破綻することはほとんどないので本来は切り離して考えるべきである(社会保障費の総額を意図的に大きくし「すごいカネがかかっているな」と,国民をいたずらに不安にさせようとする意図を感じる)。したがって,増大することで問題になるのは医療,介護である。特に,国民医療費は令和元年度(2019年度)で約44.3兆円となっており,過去最大額を記録した(コラム1)。この医療費の増加を抑えることが国家財政上重要であることは容易に理解できよう。
本稿では,医療経済を考えるうえで日帰り手術がどの程度影響するのかを考えたい。併せて,それによって麻酔科医の働き方に変化が起こる可能性について述べる。
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