巻頭言

われわれ麻酔科医は「この症例，全身麻酔は可能ですか？」といった問いによく遭遇する。しかし，この問いは麻酔科医だけではなく循環器内科や，呼吸器内科，神経内科，小児科に投げかけられる場合も多い。手術を行う施設によって異なるが，ある程度の答え方をわれわれ麻酔科としても用意する必要があると考えるようになった。

　全身麻酔をする際に問題となるのは，合併症のリスクが手術の利益を上回るかという点であろう。循環器系，呼吸器系，中枢神経系，そして小児科を取り上げたのは，それぞれの領域の合併症が手術を行う際に問題になるからである。

　本徹底分析シリーズでは，これらの領域のエキスパートに全身麻酔を行う際に合併症をどう考慮して麻酔を行うのか，または行わないのかという観点から執筆をお願いした。

　大きなテーマであるため，ここで明確な答えを示せたとは考えていないが，「全身麻酔は可能ですか？」に答える際の一助としてほしい。