徹底分析シリーズ 周術期抗菌薬とその周辺
予防抗菌薬の選び方—手術対象はどの臓器?そして,皮膚常在菌にも目を向ける!
森兼 啓太
1
Keita MORIKANE
1
1山形大学医学部附属病院 検査部
pp.254-256
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202199
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皆さんが麻酔管理を行う患者に対して,手術室入室時・入室後・手術の進行中などさまざまなタイミングで,さまざまな種類の予防抗菌薬が投与されていると思います。医療機関にもよると思いますが,比較的少数の種類に統一されている施設もあれば,診療科によってまちまちで多種多様な抗菌薬が投与されている場合もあるでしょう。20年ほど前,筆者が外科医として勤務していたある病院では,あまりにも多様すぎる抗菌薬の管理に耐えきれなくなった手術室が,「予防抗菌薬を常備薬剤としては一切設置しないので,必要な分は主治医が病棟で処方して手術室へ持参するように」という通知を出し,以後,手術室から抗菌薬が消えました。現在では,周術期予防抗菌薬の種類も標準化され,本稿で述べるようにほんの数種類しか選択されないのが一般的です。裏を返せば,以前の予防抗菌薬の選択が,製薬会社のプロモーションの影響を受けたり,外科医独自のエビデンスにもとづかない判断であったりと,科学的ではなかったという証左でもあります。
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