症例カンファレンス
重症寒冷凝集素症患者の周術期体温管理
小山 行秀
1
,
西川 晴子
1
,
尾崎 眞
2,3
,
大島 雪乃
4
,
高木 俊一
4
,
佐藤 智行
5
,
松尾 津波
5
,
徳田 賢太郎
6
,
高見 昭良
7
Yukino OSHIMA
4
,
Shunichi TAKAGI
4
,
Tomoyuki SATO
5
,
Tsunami MATSUO
5
,
Kentaro TOKUDA
6
,
Akiyoshi TAKAMI
7
1医療法人社団こうかん会日本鋼管病院 麻酔科
2西新井看護専門学校
3東京女子医科大学 麻酔科
4日本大学医学部 麻酔科学系麻酔科学分野
5済生会横浜市東部病院 麻酔科
6九州大学病院 集中治療部
7愛知医科大学医学部 内科学講座血液内科
pp.205-225
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202190
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周術期低体温が患者予後に及ぼす影響としては,術後創感染,出血量,心血管合併症の増加などが挙げられ,低体温予防はきわめて重要である。全身麻酔下の低体温は,①再分布性低体温,②体表からの熱放散,③血管収縮による体温の下げ止まりの3相から構成され,それぞれの相における体温低下のメカニズムは異なる。
今回取り上げたのは重症寒冷凝集素症cold agglutinin disease(CAD)患者の体温管理である。CADは自己免疫性溶血性貧血の一つである。CAD患者にとって,低体温は溶血とそれに引き続く血栓性合併症につながり,致死的となり得る。厳格な低体温予防が要求される本症例ではどのような対策をしていくか? 周術期体温低下のメカニズムを十分理解し,そのメカニズムに対して対策を立てる必要がある。周術期体温管理は麻酔科医にとってルーチンワークであるが,見落としている点も多いだろう。また今回は,自己免疫性溶血性貧血の概要を復習できるよう,ミニレクチャーもある。本症例カンファレンスを知識のまとめに役立ててほしい。
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