症例カンファレンス
透析患者のTAVI
中澤 圭介
1
,
加藤 純悟
2
,
松尾 輝政
3
,
入嵩西 毅
4
Jungo KATO
2
,
Terumasa MATSUO
3
,
Takeshi IRITAKENISHI
4
1東京女子医科大学 麻酔科
2慶應義塾大学医学部 麻酔学教室
3島根大学医学部附属病院 麻酔科
4大阪大学大学院医学系研究科 麻酔集中治療医学教室
pp.1-17
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202148
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整形外科医:手術のご相談なのですが…。
透析クリニック通院者で転倒受傷,右上腕骨と右大腿骨骨折で搬送になった患者さんです。
いろいろと問題がありまして…。
麻酔科医:骨折整復術の麻酔ですね。慢性腎不全以外の合併症は何ですか?
整形外科医:2型糖尿病の診断で教育入院歴があります。さらに10年以上前にCABGで開胸手術歴もあります。
数年前にASを指摘され,心不全で入退院を繰り返しています。慢性肺気腫で在宅酸素療法検討中です。
麻酔科医:なかなか手ごわそうですね。ASの先行治療が適応になるかハートチームで検討しましょう。
大動脈弁狭窄症aortic stenosis(AS)の増加は高齢化社会を迎える先進国の共通の問題である。ASは症状が出現してからの生存率は高くないうえに,治療介入時に多くの問題を抱えることが多い。低侵襲性と根治性を兼ね備えた経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)の登場は高齢患者に新しい治療の選択肢を与えた。慢性透析患者のTAVIの適応拡大により,患者の合併症はより複雑化することが予想される。リスクの増加に伴いわれわれの麻酔戦略は変わっていくのだろうか?
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