徹底分析シリーズ ペースメーカ使えますか?
ペースメーカBasics—使いこなせば強い味方
坪川 恒久
1
Tsunehisa TSUBOKAWA
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.1042-1049
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201795
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いまさらながら刺激伝導系
心臓全体を一つのリズムのもとに効率よく機能させるために刺激伝導系が存在し,正常では洞房結節で作られた刺激を心筋全体に届けている。刺激伝導系を構成しているのは神経ではなく,筋収縮力をもたない特殊な心筋(特殊心筋)であり,各部位が一定のリズムで脱分極する自動能を有している。そのため虚血状態では機能が損なわれてしまう。
上位の特殊心筋ほど速いリズムをもっていて,洞房結節が最も速く,ついで房室結節,His束,そしてPurkinje線維の順になっている(図1)。上位からの刺激が到達すると,その組織のリズムはリセットされ,自動能による脱分極は起きなくなる(リセット現象)。正常な心臓では,洞房結節のリズムがPurkinje線維まで伝わり,洞房結節のリズムが心臓全体の心拍数となっている。上位からの刺激がリセットリミット内に到達しない場合は,その部位が脱分極して(補充調律),その刺激が下位に向かって伝導していく。
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