連載 判例ピックアップ【新連載】
連載開始に当たって
奥田 泰久
1
1獨協医科大学越谷病院 麻酔科
pp.301
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200533
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- 文献概要
医療訴訟は,臨床で医療に従事する医療者にとって,常に関心を払うべき大きな問題である。医療は不確実なものであり,たとえ医療者が細心の注意を払っても,人為的ミスによる“医療過誤”や副作用および合併症を含めた不可避の“医療事故”をゼロにすることはできない。
医療行為で患者に何らかの不具合が生じた場合,患者やその家族がその結果に納得すれば問題はない。しかし,医療者側が“不可避”と考える不具合でも,患者やその家族が常に同意して納得するわけではなく,特に期待された結果が得られなかった場合は,その診療行為前の説明が不十分だったとか,診療行為に何らかの過誤があったとの主張をすることは珍しいことではない。医療者側と患者側の両者でその溝が埋まらない,あるいは示談が成立しない場合,そして患者が死に至った場合には,その医療行為の正当性について,民事や刑事事件として司法の判断がなされる。
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