徹底分析シリーズ 小児の気道異常
外科的介入を要する先天性気道疾患—病態の理解から治療戦略まで
前田 貢作
1,2
Kosaku MAEDA
1,2
1兵庫県立こども病院 小児外科
2神戸大学大学院医学研究科 小児外科学分野
pp.680-684
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200325
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外科的介入を必要とする先天性気道疾患のなかでも,気管狭窄症および気管・気管支軟化症は治療困難な領域であり,介入時期の遅れが生命を脅かすことにつながる重篤な疾患である。気道狭窄の診断は,小児においては鎮静下や全身麻酔下の気管支鏡検査にて直接観察することで確定されるが,最近の画像診断の進歩により,造影3D-CTが非侵襲的にきわめて有用な情報をもたらすことが判明している。
スライド気管形成術slide tracheoplastyや大動脈胸骨固定術aortopexyなどの外科的手術や各種のステント治療の導入により,治療成績は向上している。しかし,今なお確定された治療法がなく,症例も多くはないため,限られた施設で施行されているのが現状である。
近年の移植医療と組織工学の進歩により,脱細胞化されたスカフォールドに間葉系幹細胞を用いた代用気管が開発され,臨床応用されるに至っており,今後の進歩が期待される。
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