連載 Tomochen風独記
⑥薬と器具
山本 知裕
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1アスクレピオス小児病院ザンクトアウグスティン/ドイツ心臓センターアスクレピオス病院ザンクトアウグスティン 麻酔科
pp.612-613
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102157
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- 文献概要
■■■日本にない薬・ある薬
当院が日常の臨床で使用する麻酔薬は,基本的には日本と同様で,麻酔導入薬の主流は何と言ってもプロポフォールです。小児が主な対象なので,プロポフォールを4~5mg/kgボーラス投与して,全身麻酔導入を行っています。そのほかに,Etomidat(エトミダート)という静脈麻酔薬があり,麻酔導入時の血行動態の変動を最小限に抑えたいような心臓手術症例における全身麻酔導入薬として,0.3mg/kg前後がボーラス投与されます。日本であればミダゾラムが使用されるような症例ですが,エトミダートは作用発現が早いにもかかわらず血行動態の変動が少なく,非常に便利な麻酔導入薬という印象があります。ただし,エトミダートは高率に軽い筋硬直が起こるので,筋弛緩薬が併用されます。
全身麻酔導入後の気管挿管時には,レミフェンタニル1~2μg/kgを併用します。日本でもありますが,重症心臓奇形の新生児症例では,フェンタニルと筋弛緩薬のみで麻酔導入と術中管理を行うこともあります。筋弛緩薬は,小児心臓手術症例の麻酔導入時ではパンクロニウムが主流で,一般手術の麻酔導入時ではロクロニウムか短時間作用型非脱分極性のMivacurium(ミバクリウム)を使用します。
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