徹底分析シリーズ デクスメデトミジンと鎮静
デクスメデトミジンの薬物動態・薬力学―血中濃度のシミュレーションを活用して安定した投与を目指す
黒澤 温
1
,
国沢 卓之
1
KUROSAWA,Atsushi
1
,
Takayuki KUNISAWA
1
1旭川医科大学 麻酔・蘇生学講座
pp.202-208
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102062
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デクスメデトミジン(DEX)は,投与中でも「呼べばすぐ目が覚める」鎮静薬であり,また投与停止早期でも「呼べばすぐ反応する」薬物である。そのため,「代謝,排泄がきわめて速い薬物」と誤認されやすいが,実際は作用時間の短い薬物ではない。投与停止早期に,血中濃度plasma concentration(Cp)がまったく低下していないにもかかわらず,刺激に対してすみやかに反応できるのは,鎮静の質から生じる状態であり,代謝,排泄が速いわけではない(ミニ知識1)。
DEXは,鎮静作用のほかにも交感神経抑制,鎮痛などの作用があり,それぞれの作用ごとに用量反応関係が存在する。血圧に対する反応は,直接の末梢血管収縮作用と相まって複雑になる。DEXのもつさまざまな利点を生かし,また生じる可能性のある不都合を防ぐには,薬物動態pharmacokinetics(PK)-薬力学pharmacodynamics(PD)の知識が必要となる。
本稿では,DEXのPK-PDを概説し,臨床でDEXの効果を十分に発揮し,副作用を最小限に抑えるために必要な知識を解説する。PK-PD の総論については,本誌2013年11月号「open TCI:PK-PD学ぶなら今でしょ」を参考にされたい。
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