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◆年末年始という時期は「○○会」と称した酒席があちこちで開催されます。ご多分にもれずLiSA編集部でも,忘年会を行いました。
九州料理のお店ということで,甘い醤油の用意もありました。そこで「東京の醤油に砂糖を混ぜたらコレにならないの?」と,ふと浮かんだ疑問を口にしたら,ササッとスマートフォンやタブレットの登場です。アミノ酸がどうのこうの,製造工程が云々と,さまざまな情報が集まりましたが,そんなことよりも,真っ先にネットにアクセスする最近の傾向を目の当たりにして,言葉を失いました。
もちろん日頃,「ちゃんと調べたの?」「どこに何て書いてあったの?」と,繰り返してきた賜物なのでしょう。しかし,一つの卓を囲んで,それぞれがパーソナル端末を操作している光景は,ちょっとの時間でしたが,かなりいただけないものでした。
問いかけておいて申し訳ないのですが,別に,甘い醤油について真剣に知りたかったのではありません。単なる話のきっかけで,そこから話題が,その他の調味料についてになろうが,黒い液体についてになろうが,何でもよかったのです。
◆しかし,そもそも私の発信(=テーマ設定)がよくなかったのだと,別の機会に知りました。酒席ではありませんでしたが似たような場面で,ある御方から何の脈絡もなく,「なぜ1日は夜中に始まるんだろうね。朝のほうが“始まる”感じがするのに」と問いかけられたのです。
これぞ,四方山話の発端! ネットで検索しようにも,正しい回答などどこにもなさそうなにおいがプンプンします。そして,この問いかけをどう切り取り返答するかは,その人次第。時間とは何か,でもいいでしょうし,“始まる感じ”を何から得るのか,でもいいでしょう。どうとでも話は転がりそうです。
私なりの返答に考えを巡らせながら,「なるほど,忘年会でもこういう発端でなければならなかったな」と感心しました。
◆さらに,このテーマの優れたところは,「それがわかったところで,何なのよ」という脱力感も兼ね備えている点です。だからこそ,気楽に考えられるし,適当なことも言えるし,突飛な発想も許容。
「間違ってしまうと関係各位にご迷惑をおかけしますので発言は控えさせていただきます」なんて逃げ道はありません。「そんな,どうでもいい話には,おつきあいしていられません」と言ってしまえば,それまでですが…。
◆毎日,いろいろな人と言葉を交わします。そのなかで,事務連絡でもなく,決定会議でもなく,陳情・交渉でもない,「活発な議論」には,相手の発言に対して,ある程度の短い時間内に別の視点を提供することが求められます。この「アドリブ力」と「発想力」は,会議室よりも酒席のほうが鍛えられそうだと気がつきました。だからと毎晩のように街に繰り出して,翌朝起きられない…,というのも困るのですが。
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