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◆大学教育にかかわる方や,中高生のお子さんをお持ちの方にとっては,入試の季節です。同じ“試される”ものでも,会社では,迫りつつある年度末に向けて,「人事評価」の季節です。人事評価は,仕事のスキルを高めるために,今できること,これからできるようになるべきことを確認するためのもの。とは言え,「A」だの「B」だの,ランクを付けられれば,そちらに意識が向いてしまうのは致し方ありません。そんな中で行う評価面接は,評価する側も試されるので,ちょっとした緊張感を伴います。できれば穏便に済ませたい。けれど,日々の仕事を進めていくうえでは「言うまでもない」と思われたことも,ここではあえて言う必要も出てきます。なので,ちょっとストレス…。
きっと,「言うまでもない」ことをあれこれ言われるのは,気分のいいものではないでしょう。ちょうど,宿題をやろうと思ってテレビのスイッチに(リモコンの時代ではない)手を伸ばしかけたときに,母親から「いつまでテレビを見ているの!宿題,やったの!」と言われて腹が立つのと同じ心理です。
互いに「空気を読んで」状況を理解し,「あ・うんの呼吸」で物事が進められたら,日本人として,こんなに居心地のいいものはありません。しかし,後で修復不可能なトラブルにつながりかねないので,「言うまでもないことだけど…」とか「あなたもわかっているとは思うけど…」といった枕詞をくっつけて,1年に1度,(仕方なく)小姑になるのです。 ◆互いにわかっているはずのことでも確認することの大切さは,麻酔科医の方には「言うまでもない」ことでした。例えば,サインイン。手術台に患者さんが上がるまでには,たくさんのチェックを経ているはずですから,ほとんどの場合,正しい患者さんがやってきて,手術内容も,手術部位も,皆,問題なく共有できているものでしょう。そんな「言うまでもない」状況でも,あえて全員で確認するサインインが,医療安全において重要な役割を果たしていると聞きます。
自分は現状をこのように理解しているけど同じですよね,と確認するところからスタートするのは,複数の人が一つのことを進めようとするときの基本です。「言うまでもない」からと,相手の理解を前提にするのは,楽チンなのですが,単なる甘えでもあります。面倒ですが,日頃から自分の認識を言葉にしていれば,評価面接も,もっと気楽になるのかもしれません。ま,日々,小姑になるか,1年に1度,小姑になるか,だけの違いですが。
◆そこで,「言うまでもない」ことですが,LiSAは,時に読者の臨床へのヒントとなり,時に読者の疲れた心の癒しとなり,時に読者の未来を刺激するような,常に読者に寄り添う存在になりたいと思っています。
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