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末梢神経ブロック(伝達麻酔)は,麻酔と名がついているにもかかわらず,多くの麻酔科医にとって「センスがないとできない」「患者が放散痛を訴えるのが…」「あまり効かない」「オタクな医師の特別な手技」など,あまり親しみのある麻酔法ではなかったようである。事実,筆者の周りでも,麻酔科医が末梢神経ブロックを実施しているのはペインクリニック外来が主で,手術室では閉鎖神経ブロックのみ,むしろ整形外科医が手の外科で実施している姿を見るばかりであった。
ところが2005年以降,超音波装置により,神経,血管,穿刺針,局所麻酔薬を確認したうえで実施する超音波ガイド下末梢神経ブロックultrasonically-guided peripheral nerve block(USPNB)が登場し,それまでの麻酔科医の伝達麻酔嫌いは何だったのかと思うほどの注目を集めた。「安全・安心・確実」のキーワードとともに,この手技は飛躍的に普及し,麻酔科医の手技として市民権を得たように思われる。
現在では,手術麻酔のための伝達麻酔としてのみならず,術後鎮痛にも従来の硬膜外鎮痛法の代替手段として広く用いられている。
国内外で,ほぼ同時に普及したUSPNBだが,超音波装置を用いるだけでは必ずしも「安全・安心・確実」とは言えず,より安全なUSPNBを普及させるために,欧米ではすでに技術習得のためのガイドライン1)が発表されている。日本でも2011年から日本超音波区域麻酔研究会のメンバーが中心となって,USPNBのminimum requirementを作成中である。
本稿では,USPNBを習得・実践するうえでのコツとピットフォールについて解説する。
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