徹底分析シリーズ 意識のバイオロジー
意識の二構成理論―GCS/JCSは外意識の指標 内意識は本能とこころで機能する
林 成之
1
HAYASHI, Nariyuki
1
1日本大学大学院 総合科学研究科
pp.378-383
発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101505
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意識障害の脳蘇生治療は,長い間,外からの言葉や痛み刺激に対する反応をみる意識障害の診断法1,2)をもとに行われてきた。
しかし,脳低温療法の進化によって,これまで社会復帰が難しいとされていた瞳孔散大患者の40%近くが日常生活まで可能になると,その瞳孔散大で昏睡状態と診断していた患者のなかに,実は周りのことを理解していた3,4)と,従来の意識判定法では理解しがたいエピソードを語る者がでてきた。
その一方で,自分はこうしたい,あの人が好きという意識があり,必ずしも外からの刺激を必要としない,この内なる意識の障害をも治さないと,治療が本当に成功したとはいえない4,5)という医療現場からの指摘もある。
したがって,重症脳損傷患者の治療をさらに進化させていくためには,これまでの「外からの刺激に対する反応性を意識とする」という概念をいったんフラットにし,改めて人間の意識を,気持ちや考えとの関係,さらには,本能やこころとの関係までも含めて明らかにしていく必要がある。
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