徹底分析シリーズ PCA再考 Part2
最近のPCA装置の動向と今後の課題―機械式にはさらなる機能充実とスタッフ教育が,ディスポ式には流量可変式の保険適応が求められる
河野 崇
1
,
横山 正尚
1
KAWANO, Takashi
1
,
YOKOYAMA, Masataka
1
1高知大学教育研究部医療学系医学部門 麻酔科学講座
pp.810-813
発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101316
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自己調節鎮痛patient controlled analgesia(PCA)は,患者自身が,痛みを感じた時に鎮痛薬を投与する鎮痛システムであり,その有用性および安全性は世界的に広く認知され,導入されている。
一方,日本では古くから依存性に対する不安のためかオピオイドの消費量が少なかったことに加え,持続硬膜外麻酔が術後疼痛管理の中心的な役割を担っていたため,海外と比較してPCAの導入には消極的であった。しかし,近年の周術期医療の変遷により,リスク・ベネフィットの観点から硬膜外麻酔の適応が減少したこと,さらにレミフェンタニルの登場により麻酔の覚醒がすみやかとなり,術後疼痛対策への関心が高まったことから,新しい鎮痛法としてPCAを用いた術後疼痛管理が注目されるようになった。
有効なPCAを行うためには,専用の機器(PCA装置)が必要で,日本でもさまざまなPCA装置が市販されている。現在使用されているPCA装置は,大きく機械式とディスポーザブル式に分類される。特にディスポ式は,管理が容易でコストも低く導入しやすかったことから,今日のPCA普及に大きく貢献してきた。また,機械式は,PCA本来の,よりきめ細かい安全で質の高い術後疼痛管理を可能にしている。
本稿では,機械式およびディスポ式PCA装置の利点と欠点,最近の改良点,そして今後の展望について述べる。
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