- 販売していません
- 文献概要
■いつ頃だったか,何で読んだかも思い出せないものの,妙に記憶している文章があります。現代社会にネクタイが存続していることは不思議なこと,唯一ネクタイは,女が男の首を締め上げるときに役立つのみである。もちろん正確ではありませんし,いくつかの文章の合成かもしれないのですが…。一昔前のパイロットのマフラーなどとは異なり,無用の長物としてのネクタイ,それだけにクールビズとなると真っ先に取り外されてしまいます。しかも今年は超クールビズ。
環境省によるドレスコードによれば,ジャケット,ノーネクタイから,今年はポロシャツ,アロハシャツなどの着用を認めたということ。その理由は節電による冷房時の室温28℃。まあ,贅沢は敵だ,ということでしょうか。で思い出すのが昭和30年代の刑事ドラマ。暑い夏,扇子で仰ぎながらの炎天下の聞き込み,彼らはいわゆる開襟シャツを着ていました。今,この開襟シャツははやらないのでしょうか。そういえば,「戦場にかける橋」の将校も開襟シャツだったような。
「各施設のクールビズはどうなっていますか」「うちのドレスコードは,ネクタイにスーツなんですよ,執行部は」「このご時勢,ノーネクタイは当たり前でしょ,環境省はアロハシャツOKですよ。で,クーラーの設定温度は?」「もちろん28℃」「28℃でその格好するんですか!熱中症になりますよ」「ネクタイにすごいこだわりがあって…接遇なんちゃらマニュアルというものがあるのですが,それに規定されているんです」「でも,真夏にネクタイにスーツだと,どんなことになるやら」「そりゃ,死にますよ」「しかも,政府のクールビズ政策に反しているじゃないですか」「うちは,接遇マナーが国策より上なんです」
「うちでは風紀委員会のようなものがあって,院内をパトロールしているんです。聴診器を首にぶら下げていないかとか,それに服装。ジーパンはだめです」「結構ジーンズで診療している人いますね。あれはおかしいと思うんです」「顰蹙ものです」「線が入っていないズボンはだめ」「チノパンはいい」「そういえば,夜中に無痛分娩で呼ばれてオペ室に入ったら,ポロシャツだったもんで,旦那さんに間違われました」「それと,白衣姿で院内のカフェやレストランに入るのもダメ」「仕事着で食事するなんてイヤですよ」「アメリカでは,上のスタッフはスーツですから,循環器医など,スーツに聴診器…」「だいたい向こうは,ステイタスが上にいくほど白衣なんか着ない。白衣,特に短い白衣を着ているのはインターンかレジデント」「日本じゃ,泥棒ですかね」「白衣を着ているのは医師よりも泥棒のほうが多い,といわれていましたね」「今でもそうでしょ」「ドロボ~という声に振り返ると,追いかけられているのが白衣」「病院じゃ,白衣は万能ですから…」(以上フィクションです,念のため)
それにしても,海外ドラマでは違和感を感じないのに,TVに映るノーネクタイ姿の政治家の決まっていない様は,日本人には洋服がいまだになじんでいないということでしょうか。
Copyright © 2011, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.