症例検討 「ショック」との遭遇
ショック初期の評価と管理―ショックの病態を読み取ろう
松田 直之
1
MATSUDA, Naoyuki
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野
pp.1082-1086
発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101070
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麻酔科学を専門とし,周術期管理に精通してくると,循環モニタリングに長けてくるため,血圧や脈拍の変動に敏感になる。吸入麻酔薬および静脈麻酔薬は,交感神経活性抑制と血管拡張作用によりショックを導きやすい薬物である。日々の麻酔管理のなかで,麻酔科医は時系列で循環を評価し,ショック進展を推定する能力が鍛えられる。
ショックは,末梢のさまざまな組織の酸素需要に対して酸素供給が循環系異常により障害された病態として定義されている。将来は,ショック病態における各組織の酸素需要を減少させる治療法の確立が期待されるが,現在のショック管理では,酸素運搬を改善するための適切なヘモグロビン値と酸素化の維持に加え,ショック病態を循環モニタリングで的確に評価し,ショックの原因の除去と対症療法が重視される。
本稿では,ショックの初期評価と病態生理にもとづいたショック治療をまとめる。
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