徹底分析シリーズ 周術期管理に必要な抗血小板療法の理解2
コラム:血管内皮細胞の機能
中竹 俊彦
1
NAKATAKE, Toshihiko
1
1元杏林大学保健学部 臨床血液学教室
pp.532-535
発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100949
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生体は一元配置では理解できない。生体では,血液凝固・線溶系/止血・血栓形成系,そして免疫系が連動する。これまでに個々の仕組みが解明されたことにより,それぞれを独立してイメージすることができなくなった。正常な生理機構に加えて,病的な状態では血管には炎症の発生や感染に伴うエンドトキシンの発生が絡んでくる。そうなると,これまでの血液凝固系だけで組んだ図式(イメージ)に,抗凝固系が加わり,感染・感染防御機構も加わることになる。さらに,線溶系には抗線溶系が加わる。さらに新規の因子や分子の解明と,それらの「認識を加えていく」と,従来の平面的な図式では相互関係が絡み,図式は複雑に錯綜してしまう。
もはや,1枚の図式の上ですべての要因をイメージ化することは困難である。必要なのは,私たち各自が作用の及ぶ範囲をイメージとして図式化していくことで,次に,組み立てた「血液凝固機序」に重ねたイメージが必要になる。今後は,「血液凝固・線溶系/止血・血栓形成」の上に,感染,炎症のイメージを重ねていくことができれば,生体の状態変化(病態)を幾分か理解できるようになっていこう。
以下,そうした事情を踏まえながら,血管内皮細胞の機能を考えてみたい。
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