徹底分析シリーズ 大血管手術後の脳・脊髄合併症
巻頭言
垣花 学
1
1琉球大学医学部 生体制御医科学講座麻酔科学分野
pp.103
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100853
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- 文献概要
大血管手術では,大動脈遮断・解除に伴い必ずいくつかの臓器が虚血・再灌流に曝される。この虚血・再灌流は,曝された臓器の細胞に対してその防御機構をも凌駕する莫大な侵襲を与え,その機能を失わせる可能性を秘めており,特に虚血・再灌流に対し最も脆弱な中枢神経系(脳・脊髄)は,この侵襲により何らかの症状(意識障害,痙攣,高次脳機能障害,麻痺など)を呈し,患者のQOLを著しく損ねる。
それに対し,周術期管理のプロフェッショナルである麻酔科医には,大血管手術中の中枢神経保護を念頭に入れ,それに積極的に関与する責務がある。しかし,中枢神経保護に関して,いまだに標準的な保護方法というものがなく,そのために各施設において独特な方法を駆使しているのが現状ではないだろうか。
本徹底分析シリーズでは,「大血管手術における中枢神経保護」という観点から,低体温,脳灌流(脳脊髄圧管理も含む),中枢神経モニタリングに関し,その適応,方法,利点・欠点,そして麻酔科医が注意すべき点を述べてもらった。本特集により,大血管手術における中枢神経保護への関心が高まり,また今後の臨床麻酔に役立ち,よりよい周術期管理の一助となればと願っている。
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