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from LISA
pp.1121
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100809
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- 文献概要
■『道化と笏杖』(ウィリアム・ウィルフォード著,高山宏訳,晶文社)のことを突然思い出し,久々に本棚から取り出したきっかけは,数か月前の駅のホーム。多くの男女が,列車から降りるやいなや,携帯電話をパシャリと開き,メールをやり出した,その光景。携帯を持った姿が笏をもつ内裏雛にそっくりだと思い,“笏→笏杖→道化”とイメージが飛んだというわけです。本書は,フール(愚行)とは何かを精神分析を軸にさまざまな角度から解釈したテキストで,読み直すのは大変。ですが,ボッシュの絵やバスター・キートンの映画の一場面など,挿入されている図版を眺めるだけでも結構楽しめます。
問題の笏,そういえば生田神社での藤原紀香との結婚式の際に陣内智則が手にしていましたっけ。そこにはいろいろな意味があるようですが,今日では,神官が儀礼の際に威儀を正すために持つ道具とのこと。ということは,電車の中で一心不乱に携帯を操作する姿は,混んだ車中における正しい身の処し方といえなくもありません。しかし,車中ならまだしも,これが歩行中となると,その後ろについた者は閉口させられます。特に階段でのそれは,イライラと同時にハラハラ。最近,連れ合いが3段ほどある玄関の段差を,このメールのために,踏み外し,捻挫をしています。駅の私は,最後の段まできたのでやれやれと思ったら,突然の急停止。何で止まるんだ,と心で叫びながら,つんのめりそうになるのをやっとのことこらえ,周りが見えないにもほどがあるとムッとしながら,私自身も“帰るメール”を…
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