症例検討 脳血管障害患者の麻酔
巻頭言
中山 英人
1
1東京都立神経病院 麻酔科・集中治療部
pp.955
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100768
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- 文献概要
脳は頭蓋骨や硬膜に閉ざされた空間のなかで,髄液や血液という液体に親しく接して思惟を続けている。この脳を取り巻く液体の環境が破綻するのが脳血管障害である。髄液を海,血液を河に準えれば,大河が氾濫して濁流が組織に押し寄せてくるのが出血であり,清流が枯渇して組織が旱魃に曝されるのが虚血である。何れも組織は甚大な被害を被り,重篤になれば壊滅する。河の流れを正常に戻すためには脳外科医による土木工事が必要になる。われわれは工期を通じて河の流れを正常に維持し,組織を侵襲から遠ざけなければならない。
本症例検討では,治水の名手とも言うべき執筆陣を敷いた。日常遭遇する脳血管障害の麻酔において,どのような配慮のもとに麻酔管理を遂行しているかについて臨床の現場で最前線に立つ名手達に披瀝していただいた。豊富な経験に裏打ちされ迫力に満ちた本稿は,脳血管障害の麻酔における里程標である。読者である麻酔科医を通じて本邦の脳血管障害の患者にも資する内容であると自負する。
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