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集中治療認定施設を標榜する多くの病院で,専門医がいても,実際のICU診療に“濃く”関与している病院は少数だ,と言われています。ましてや,24時間態勢でICU専従医が診療の全責任を負う,いわゆる“closed ICU”はまだまだ少数。しかし,生死をさまようショックの患者は,ICU専門医がいる病院を選んで入院できるわけでは,もちろんありません。多くの施設で,集中治療のトレーニングを受けていない先生方が,自らの経験を頼りに,試行錯誤しながら,患者を救おうと努力しているのが現状です。しかし,ややもすれば自分たちの専門診療にかかりきりとなり,その結果,重症患者のベッドサイド管理は,若いレジデントの“仕事”にならざるを得ません。
この連載は,医師としての使命感だけは人一倍もっているが,知識,経験,時には指導もなく,重症患者の前で,フリーズしてしまいがちな,若きレジデント,そう!あなたが対象です。あなたは,看護師の「先生,血圧が60なんですけど」,「先生,患者さんが呼吸器とファイティングするんですが」などの,容赦のない“指示ください攻撃”に曝されてはいませんか。まだなら,これから曝されるのです。そんな時は決まってあせっているので,お守り代わりにと,大枚を払って買った『すぐに役立つ◯◯マニュアル』の細かい活字は一向に目に飛び込んできません。残念ながら,あなたの大脳皮質に,生き生きとした知識の“刷り込み”をしてはくれません。
この連載は,若きレジデントの代表である相馬と,集中治療のことなら何でも知っているよき指導医の集団であるJSEPTIC(日本集中治療教育研究会)が,そのような“困っている”若きレジデントに向けて,“正しい”初歩的知識を伝授するためのものです。教育は,ある意味“刷り込み”です。どうか,あなたも刷り込まれてください。
2008年,重症敗血症・敗血症性ショックに対する,世界のintensivists(集中治療医)の英知を集めた診療ガイドライン,Surviving Sepsis Campaign(SSC)(メモ1)が改訂1)されました。本稿もそれにならい,本文中の記載の根拠の強さが直感でわかるように,該当項目にできるだけSSCの推奨度(表1)を添付しました。この推奨度は,“数字が小さくて,アルファベットが若ければより強い”という,直感的にわかりやすいものになっています。もし,本文の記載が気になったあなた,ちょっと踏み込んで勉強してみたいあなた,どうぞSSCを参照してみてください。さらに,該当するSSCのパートを見ると,推奨の根拠となった論文を孫引きすることもできます。
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