症例検討 周術期のマイナーな,しかし,もしかしたら重大なトラブル
術後の乏尿:尿量は血管内容量だけで決まるものではない
榎 泰二郎
1
Taijirou ENOKI
1
1神戸市立中央市民病院 麻酔科
pp.76-79
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100252
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症例
63歳の女性。身長154cm,体重60kg。子宮体癌に対して広汎子宮全摘が行われた。術前に400gの自己血貯血が行われた。術前検査ではヘモグロビン濃度が12.5g/dlであった以外,特に大きな異常はなかった。麻酔は硬膜外併用全身麻酔とした。麻酔維持にはセボフルラン・空気・酸素が用いられた。手術時間は4時間半,術中の出血量は1360mlであり,自己血がすべて投与された。術中,自己血のほか,ヒドロキシエチルスターチ500ml,乳酸リンゲル液4500ml,生理食塩水250mlが投与された。
術後回復室での尿量は30分で5mlであった。乳酸リンゲル液を200mlボーラス投与したが,その後30分間の尿量は10mlであった。
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