特集2❷ ERスタンダード 気道管理—自信がついてきた頃が一番コワイ!
【Part 2】各論
8.大量に喀血している患者の気道確保—実臨床に著効する工夫とトラブルシューティング
井ノ上 幸典
1
Yukinori INOUE
1
1新潟市民病院 救急科
pp.964-970
発行日 2025年3月25日
Published Date 2025/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.275835970020060964
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
「大量喀血」の定義は,かつては特定時間あたりの推定喀血量で表現され,明確に定まっていなかった。喀血量の定量化は困難であり,臨床的見地から有用な基準ではなかった。そのうえ,喀血患者の死亡率はその喀血量だけでなく,出血の速度,気道から血液を排出する力,肺の基礎疾患や心肺の予備力に大きく左右される1)。そこで近年は,気道閉塞,酸素化・換気障害,血行動態の悪化などから心肺機能障害を引き起こすあらゆる量の喀血を「生命を脅かす喀血」と定義する方向へ移行しつつある2〜5)。喀血患者に対応する救急医には,喀血量に固執せず,より生理学的な異常を早期に認識し対応することが求められる。

Copyright © 2025, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.