Japanese
English
綜説
血小板の生化学
On the Biochemistry of human blood platelet
浅田 敏雄
1
,
日野 厚
2
,
五十嵐 千代子
2
Toshio Asada
1
,
Atusi Hino
2
,
chiyoko Igarashi
2
1東邦大学医学部生化学教室
2東邦大学医学部森田内科
1Department of Biochemistry Toho Medical College
2Morita-Clinic, Toho Medical College
pp.60-74
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905936
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研究者にとつて,研究の動機その目標その経過を含めた系譜はある意味でデーター以上に大切なものである。特に著者等の場合自分の予期しない分野に,偶然足を踏み入れてしまつたという次第で血小板についてわれわれの辿つて来た経過を顧みておくことは無駄なことではないと思われる。
1951年頃,森田久男教授(東邦大内科)はかねて問題とされていた出血性素因の毛細管壁と血小板との関係1)を解決する一つの手段として,組織学的に利用出来る血小板固有の物質を追求しようとして血小板の純粋大量分離を企てられた。この分離の問題は,著者の一人日野の努力によつてほゞ解決2)を見,更に日野は血小板のアミノ酸を他の血液有形成分とP.C.によつて比較し,血小板に遊離のTaurineが著明である事実3)を見出したのである。1953年春,当時全く別な研究に従事していた浅田は偶々この血小板分劃が明にO2消費をすることに気付き,この材料によつて生化学的研究の可能性のある事を知つたのである。以来森田内科と生化学研究室との間で"人血小板の生化学"に関する密接な協同研究が始められた。
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