増刊号 輸血検査実践マニュアル
総論
輸血の構成成分とその機能
血球系
血小板
池田 康夫
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.29-32
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903091
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はじめに
血小板は2〜4μmの円盤状形態をした無核の血液細胞であり,通常,血液1μl中の血小板数は15〜20万程度である.他の血液細胞同様,造血幹細胞から産生されるが,他の血球と異なり,造血幹細胞から分化した骨髄巨核球の原形質の一部が分離して血液中に放出されることによってつくられる.造血幹細胞に作用し,骨髄巨核球への分化を促し,巨核球コロニーをつくらせるサイトカインとしてインターロイキン(interleukin;IL)-3,IL-6,IL-11などが知られていたが,最近,クローニングされたトロンボポエチン(thrombopoietin;TPO)は,動物,ヒトにおいて,その投与により血小板数が著しく増加することが確認され,血小板産生を調節する造血因子として脚光を浴びている.
TPOは造血幹細胞をはじめとした造血前駆細胞に働き,巨核球コロニー刺激因子(megakaryocyte colony-stimulating factor;Meg-CSF)としての作用を有するほか,巨核球成熟促進因子(megakaryocyte -potentiator;Meg-POT)としての作用も有している.しかし,巨核球からの血小板放出を促す因子はいまだ同定されていない(図1).
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