特集 免疫学的検査の進歩
Ⅲ.自己免疫疾患・アレルギー
血小板
安永 幸二郎
1
1滋賀医科大学,検査部
pp.1209-1213
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915267
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特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocy-topenic purpura, ITP)は,血小板減少を来す原疾患や遺伝的要因が認められず,赤血球系,白血球には本質的な異常がなく,骨髄における低形成を認めないことを特徴とする出血性疾患である.本症は急性型と慢性的に分けられる.急性ITPが小児に多くみられ,数週間ないし2,3か月で完治するのに対し,慢性ITPは数年の経過をとり,成人,特に女性に多くみられる.本症の成因についてはなお十分に明らかでないが,主要な機序として血小板の自己免疫が関与するという見解は多くの人によって支持されている.
免疫反応には細胞性免疫〔cellular (cell-mediated)immunity〕と,体液性免疫(humoral immunity)の二つの機構がある.細胞性免疫の主役は胸腺由来のT細胞であって,抗原刺激によって活性化されると幼若化して大型の強塩基性芽球細胞,いわゆる免疫芽球(immu-noblast)となり,更に細胞傷害性T細胞球やTメモリー細胞に分化し,仲介物質のリンフォカイン(lympho-kine)を産生する.体液性免疫は骨髄由来のB細胞が担当し,抗原刺激を受けると同様に免疫芽球となり,更に抗体産生細胞(形質細胞)となって免疫グロブリンを産生するが,抗原によってはT細胞との共同作用でこれを行うことがある(図).
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