Japanese
English
綜説
端板の機能
The Function of the End-plate
井上 清恒
1
Kiyotune Inoue
1
1昭和医科大学生理学教室
1Department of Physiology, Showa Medical College
pp.370-378
発行日 1956年10月15日
Published Date 1956/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905908
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はしがき
生体内に於いては筋の収縮は運動神経によつて伝えられる衝撃によつて惹起される。ここには異種の原形質,すなわち筋線維と神経線維の間で衝撃の伝達が行われるのである。筋線維と神経線維の接触部に脊椎動物では端板end-plateと称する構造がある。この部分に於ける衝撃受渡しがどのような機構で行われるかが本稿敍述の目的である。本論に入るに先だつて脊椎動物の端板がどのような組織学的構造を有するかについて一瞥することは無用であるまい。
脊椎動物端板の組織学的研究はGutman及びYoung(1944)1)やCouteaux2)3)らにより進展した。その構造は動物の種類によつて多少異るが,基本的な部分は共通である。運動神経線維は骨格筋内に入ると共に数百本に分枝し,それぞれ1個の筋線維に入るのである。これらの分枝は筋線維に入る前に髄鞘を失い無髄となる。この部分が終末線維terminal fiberと呼ばれるのである。終末線維は筋線維に入ると共に更に数本に分枝し,その周囲は光学的に無構造な膠状体telogliaに囲まれ,更に筋肉質sarcoplasmaとの接触面は柵状体palisadeと称する特異な構造の膜が存在する。恐らくこの部分は神経の形質膜と筋の形質膜とが密接に接触を保つている部分であろう。
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