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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅰ.レセプターに作用する薬物
ニコチン受容体
Drugs acting on nicotinic receptor
紺野 不器夫
1
Fukio Konno
1
1明治製菓㈱新薬研究所薬理室
pp.386-390
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900229
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「概説」
アセチルコリン(ACh)は神経伝達物質として最初に決定された物質であり,大別すると二つの性質の異なる受容体と相互作用を行うことが古くより知られていた。一つは中枢や副交感神経節後線維と心臓,平滑筋臓器および各種の分泌腺などの効果器の接合部にあるムスカリン様受容体であり,もう一つは本稿で述べる中枢や自律神経の神経節,副腎髄質および運動神経の神経筋接合部(終板)に存在するニコチン様受容体である。ニコチン様受容体はタバコ(Nicotina tabacum)のアルカロイドのニコチンを少量与えると構造変化を起こし,カチオンの透過性を増大して膜電位を変化させ,その結果興奮の伝達が生ずるという生理機能を有している。しかし,その薬理学的性質は存在部位で多少異なっており,興奮の伝達は神経節ではヘキサメトニウムやペントリニウムで遮断され,終板ではd-ツボクラリン(クラレ)やデカメトニウムによって遮断される。AChのニコチン様受容体は実体としての研究がもっとも早くから発展してきた。その理由として,受容体密度の高い発電魚の発電器官(系統発生学的に横紋筋と考えられている)などの実験材料にめぐまれたことや各種の生化学的,遺伝子工学的実験法が進歩してきたことが挙げられる1,2)。
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