Japanese
English
綜説
原形質流動の生理学的研究
Physiology of Protoplasmic streaming
神谷 宣郞
1
,
中島 宏通
1
,
阿部 重美
1
Noburo KAMIYA
1
1大阪大学理学部生物学教室
1the Department of Biology, Faculty of Science, Osaka University
pp.148-157
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905756
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Ⅰ.まえがき
原形質流動の生理学的な研究は昔からいろいろの材料で行われてきたが,定量的な研究の対象となつたものは殆ど流れの速さに限られていた。しかし流れの速さは,流れを起す力(原動力)以外に原形質自身の粘性の変化によつて著しい影響を受けるから,特定の条件下で起る流速の変化を一歩原因に遡つて理解するためには,それが原動力の変化によつて起つたものか粘性の変化によつて起つたものかを明かにしなければならない。従来の実験方法ではここの点を正確に解析することができなかつたために,流速に関する実験データはその内容の意昧を理解し難く,原形質流動の生理学的研究は事実上この点で行詰つていたといえる。
この障壁を乗越えるためには,流動の原動力を直接計量する方法が見出されればよい。原形質流動の原動力の測定には,現在では次に述べるような材料と方法による一つの途が拓けている1-5)。われわれはそこで,まず正常の原形質の流動力を測定し,それがいろいろの実験条件下でいかに影響され,実験条件をとり去つた後いかに回復するかについて研究を進めた。こゝには,それらのうちとくに代謝と関係の深い諸条件について報告する。
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