Japanese
English
論述
新しいカリウム鹽型水溶性葉緑素(Sungreen)に關する藥理學的研究
The Pharmacological Study of the New Type of Watersoluble Potassium-chlorophyline
寺田 文次郞
1
,
田村 豊幸
1
Bunjiro TERADA
1
1日本大學齒學部藥理學教室
1the Department of Pharmacology, Dental School of Nihon University
pp.212-221
発行日 1953年4月15日
Published Date 1953/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905707
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Ⅰ.まえがき
蛋白質を大きく分けると單純,複合,誘導の各蛋白質になり,その中の複合蛋白質は更に燐,核,糖,金屬,脂質及び色素蛋白質に分けることが出來る。そして色素蛋白質は色素を配合簇とするもので,血色素,黄色酵素及び葉緑素がこれに含まれる。血色素が背椎動物の酸素運搬者として重要な物質であるのに對して,葉緑素は植物界にあつて炭酸ガスと水とから太陽光線の力を利用して澱粉を合成する重要な機能を有しており,動植物兩界の生理學的作用の興味ある對象をなしている。
葉緑素の研究は古く1837年Berzeliusの時代から行われていたが,R. Willstätter,H. Fischer,A. Stoll等により今日では殆んどその化學構造までが明らかにされている。それは一般に植物の葉から適當な溶劑で抽出するのであるが,とり出されただけでは油には溶けるが水には溶けないものであり,これを葉緑素(Chlorophyll)と云う。このものも油に溶ける性質を利用して着色劑などにいろいろの用途があるが,醫學の領域ではこれをアルカリで加水分解して水溶性のナトリウム鹽(またはカリウム鹽)にしたものを一般に使用している。これを水溶性葉緑素(Chlorophyllin)と稱しており,從つて正しく云えば普通にみられる例の緑色の色素をChlorophyllと云うのは間違いで,本當はChlorophyllinと云うべきものである。
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