報告
豚精子のエネルギー代謝と運動との關係—第一報:豚精子の運動に及ぼす各種向神經毒の影響/第二報:解糖作用の觀察
中尾 眞
1
,
關根 隆光
2
,
野末 源一
1
,
高橋 泰常
1
,
古川 美採
1
,
吉川 春壽
1
1東京大學醫學部生化學教室
2順天堂大學醫學部生化學教室
pp.29-32
発行日 1952年8月15日
Published Date 1952/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905665
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われわれは實驗材料として哺乳動物の單細胞であり生體外で相當長時間,運動と云う機能を保持し得る豚精子を用い,代謝と機能の有機的關聯を究明せんと志した。この問題に對してわれわれは先に第一圖(1)のような圖式を提示したが,それに示すように,精子はエネルギー源として葡萄糖,果糖等を使用して居り外からエネルギー源を與えない場合は體内の燐脂質2)を消費すると推定され,エネルギー源サイクルとしては解糖系3)4)TCAサイクル5)6)がある。エネルギー傳達サイクルとしてはATP7)8)に集約される燐酸代謝,貯蓄サイクルとしては燐クレアチン9)燐アルギニン10)が存在する。興奮發生及び傳導サイクルは,豚精子にもアセチルコリンエステラーゼ11),コリンアセチラーゼ12)の存在することが關根によつて明らかにされ,所謂「アセチルコリン,サイクル」を有するものと考えられる。
運動と云う機能もその實體として精子尾部のアクトマイオシン樣收縮性物質がEngelhardt13)によつて取り出されて居り("Spermosin"と命名されている).Szent-Györgyiの發展させた筋收縮の實體と一般であると想像される。
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