報告
上皮小體と肝臓機能の關係に就いて—(其の一)上皮小體摘出前後に於ける血中殘餘窒素量の消長
小原 喜重郞
1
,
瀬田 孝一
2
1岩手醫科大學生化學教室
2岩手醫科大學外科學教室
pp.230-232
発行日 1952年4月15日
Published Date 1952/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905650
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緒言
上皮小體摘出により「テタニー」症状を發現することは周知の事實であるが其の本態に關しては諸説紛々として各々唱うる所を異にす。即ちMc-Collum一派は「カルシウム」調節不能説を唱え「テタニー」發生時には血液或は組織液中の「カルシウム」量減少し,此の際「カルシウム」劑を投與することにより其の症状の著しく輕快すること等より「テタニー」發生の主な原因は血液中の「カルシウム」量の減少なりと論じている。又Mc Cann等は上皮小體摘出後血中炭酸「ガス」含有量が増加し其結果起る血中の「アルカリ」貯藏の増加を基とし「アルカロージス」説を唱道している。
更にNöel,Paton一派は有毒蛋白分解産物の代謝障碍による中毒説を唱え,Fühnerが「グアニジン」と「テタニー」との關係を發表して以來上皮小體の機能障碍により招致せられる中毒の原因として「グアニジン」體を擧げたもの多く,Dragstedt等は之に注目し「グアニジン」體の如き有毒蛋白分解産物を生成しない食物即ち多量の乳糖を主食として上皮小體摘出犬を長期間生存せしめ得ることを實驗的に證明し,正常健康時には腸内に有毒蛋白分解産物が發生しても上皮小體の機能により其中毒を避け得るが,若し一度上皮小體を摘出する時は中毒症状即ち「テタニー」を惹起すると述べている。
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