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実験講座
Ca-EGTA緩衝液の作製とその問題点
Ca-EGTA buffer in physiological solutions
老木 成稔
1
,
岡田 泰伸
1
Shigetoshi Oiki
1
,
Yasunobu Okada
1
1京都大学医学部生理学教室
pp.79-83
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904966
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細胞内Ca2+は10−6M以下のレベルにおけるわずかな変化によって,多くの細胞機能調節に関わっている1)。細胞内灌流法やパッチ電極法およびpermeabilized cellmethodなどの実験技術の著しい進歩により,通常の小細胞においてもin vitroで直接細胞内を取り扱うことが可能となった。そのためには実験溶液の遊離Ca2+濃度を10−6M以下の領域でコントロールする必要があり,キレート剤を用いたCa緩衝液の使用が不可欠である。Caに対して親和性が高く,Mg2+による干渉の少ないEGTAがもっともよく使用されている。スイスのSchwarzenbach一門によって物理化学的性質が詳らかにされたこのEGTAは,江橋らによって最初に系統的な生物学的実験に供された。EDTAやEGTAの使用は,筋肉の収縮機構の研究における輝かしい成果2)の不可欠の契機となった。
Ca-EGTA緩衝液中の遊離Ca2+濃度の計算には次の二つのやり方がある。それぞれの実験条件での「みかけの結合定数」(後述)を測定し,それを用いて計算する3,4)。あるいは,与えられた「絶対結合定数」(後述)のセット値を選択して(コンピュータを用いて)計算する5-7)。
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