特集 神経科学実験マニュアル
脳組織の実験材料
細胞分画—RNA
高橋 康夫
1
Yasuo Takahashi
1
1新潟大学脳研究所 神経薬理
pp.355-357
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904764
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■ 概要
分子神経科学の領域の進歩は急速であり,その範囲も広範であるが,ここではRNAとその卵細胞内注入について述べることにする。
Xenopus laevis(ツメガエル)の卵母細胞に他種由来のmRNAを細胞内注入し,そのmRNAに特異的な蛋白質を生合成させる技術はGurdonらによって始められてから15年近くになろうとしているが,この翻訳系は多くの研究者によって利用されてきた。最近ではクローン化した単一のDNAの注入も行われるようになっている。神経科学の領域ではMiledi,澄川らによるアセチルコリンレセプター,セロトニンレセプター,BarnardらによるGABAレセプター,さらにMishinaらによるクローン化されたcDNAから転写されたmRNAを卵母細胞中に注入しアセチルコリンレセプターの発現を電気生理学的に証明した最近の研究はこの力法の有効性を鮮やかに実証した。
Copyright © 1985, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.