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特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識
細胞骨格に作用するもの
ビンブラスチン
Vinblastine
佐藤 英美
1
Hidemi Sato
1
1名古屋大学理学部臨海実験所
pp.520-523
発行日 1984年12月15日
Published Date 1984/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904659
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■特性
チュブリンダイマーまたはオリゴマーと直接結合し,微小管特に紡錘体微小管を脱重合させることで細胞分裂を抑制し,あるいは阻害する薬物を一般に核毒(mitoticpoisons)と呼ぶ。薬理作用の類似性からコルヒチンとその同族体,ビンブラスチンなどのVinca系のアルカロイド,かびから抽出されたグリセオフルビン,ポドフィロトキシン,除草剤などに分けられるが,構造上からはmethoxy基の存在のほかには共通点はない2)。
ビンブラスチンはキョウチクトウ科のVinca roseaLinn(和名つるにちにち草:俗称"仏さんのお花")から抽出されたアルカロイドである。白色または淡黄色の結晶性粉末で無臭。水,クロロフォルムに可溶。水に溶けやすくするために硫酸塩として使用される場合が多い。Vincaの薬効については古くから各地で知られており,ジャマイカでは糖尿病用の薬湯として用いられた。Eli Lillyの研究陣がVinca系のアルカロイドを多年にわたって追求したのもその理由からであった。中世にはマダガスカル島原産のこの植物のアルカロイドを媚薬として使う試みもあったという。
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