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特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識
神経系に作用するもの
シナプス後膜作用薬
カイニン酸
Kainic acid
篠崎 温彦
1
Haruhiko Shinozaki
1
1東京都臨床医学総合研究所薬理研究室
pp.466-468
発行日 1984年12月15日
Published Date 1984/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904639
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■特性
そもそもカイニン酸は,紅藻類Rhodophyceaeフジマツモ科Rhodomelaceaeに属する海人草より抽出された駆虫成分であったが,哺乳類中枢神経細胞を著しく興奮させることが報告されて以来,神経研究における重要なtoolとなった。カイニン酸を動物に皮下または静注すると痙攣を起こす。また,その微量を神経組織に注入すると,注入部位の神経細胞体と樹状突起を破壊するが,神経線維やシナプス前軸索にはほとんど影響を与えない。また下等動物神経筋接合部にあっては,カイニン酸はグルタミン酸の作用をmodulateする。
融点約252℃の白色針状結晶または結晶状の粉末で無臭,旨味または酸味がある。水に可溶であるがやや溶け難く,メタノールに溶け難く,エタノールに極めて溶けにくい。クロロホルム,エーテル,ベンゼンなどにほとんど溶けない。稀塩酸または水酸化ナトリウム溶液に溶ける。水溶液(1→100,無色透明)のpHは2.8〜3.5であり,pKは2.05,4.30,10.08である。
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