Japanese
English
特集 中枢神経系の再構築
時計細胞の移植
Transplantation of the suprachiasmatic nuclei
川村 浩
1
,
二本松 伊都子
1
,
佐脇 敬子
2
Hiroshi Kawamura
1
,
Itsuko Nihonmatsu
1
,
Yukiko Sawaki
2
1三菱化成生命科学研究所脳神経科学研究部
2北里大学医学部生理学教室
pp.322-329
発行日 1984年10月15日
Published Date 1984/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904606
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わが国においては脳の組織を他の個体の脳に移植した経験は比較的新しいものと考えられる。筆者らは一昨年10月ごろより,全く独自にラットにおける視交叉上核の移植実験を試みた。あらかじめ視交叉上核を両側とも通電破壊して,車まわし運動で観察したサーカディアンリズムが消失したラットの第三脳室に出生翌日(いわゆるday 1)のラット新生児脳の視交叉上核を移植して,大体1か月後ぐらいから再び車まわし運動にサーカディアンリズムが現われることを観察した1,2)。
この成績は1983年8月30日にオーストラリアのシドニーで開かれた国際生理学会で筆者らの一人である川村が座長として組織した「サーカディアンリズムのペースメーカー──その中枢神経機構」と題するシンポジウムで発表されたが,その際の反響から,多分哺乳類体内時計移植の最初の成功例と考えてもよいと思われるので,本稿でその方法や成績についてやや詳しく記述することにしたい。
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