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特集 神経科学の仮説
脳内空間地図の仮説
Hypothetical spatial map in the brain
笠井 健
1
Takeshi Kasai
1
1大阪大学健康体育部体育科学系
pp.206-214
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904586
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射撃の名手は身体の各部が揺れ動く中でピストルだけは空間的にぴたりと静止させることができるといわれる1)。また体操の選手はムーンサルト(2回宙返り,1回ひねり)で着地するまでの間,常に大地がどこにあるかわかっているそうである。鉄棒の選手が手をはなし,空中で回転をしてから再び鉄棒をつかむシーンもよく見かける。人間はこのように運動しながら周囲の世界を正しく認識する能力と,周囲の空間に対して正確でかつ微妙な運動制御を行う能力をもっている。
運動をしているとき,頭は平行移動と回転をあわせて6つの自由度で動く。TVカメラを6自由度でふりまわしたとき,モニターの画像がどれだけ乱れるかを考えると,激しく動く頭にとりつけた眼を使って周りの空間を1つの連続した世界としてとらえる能力は驚くばかりである。
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