話題
世界に並ぶ日本の電子顕微鏡学—電子顕微鏡学会創立30周年記念講演会印象記
大隅 正子
1
Masako Ohsumi
1
1日本女子大学家政学部生物学教室
pp.300-305
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903338
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社団法人・日本電子顕微鏡学会は今年創立30周年を迎え,その記念式典と「電子顕微鏡学の現状と将来」と題する記念講演会が,昭和54年度学会総会と学術講演会の前日の5月22日に,宝塚バウホールで開催された。
今日では自然科学研究の広範な分野に普及している電子顕微鏡は,1932年にルスカ教授によって発明された。わが国では昭和14年(1939)に学術振興会がわが国独自の電子顕微鏡の製作開発を目的とした小委員会を設立し,電子顕微鏡の研究と製作が開始され,それが母体となり,日本の電子顕微鏡学会が,昭和24年(1942)5月13日に創立された。学会創立当時はわずかに10数台しか作られていなかった電子顕微鏡が,創立20周年記念の時には,3,360台が日本国内で製造され,その中1,800台は外国へ輸出され1,560台が国内で使用されていた。その後の10年間に8,260台が製造され,4,640台が輸出され,3,620台が国内で使用されたと会長の紹介があった。それらの数字はわが国電子顕微鏡製作技術と,電子顕微鏡を用いた研究の進歩を具体的に示し,また日本電子顕微鏡学会の発展をも意味している。
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