特集 先端技術と臨床検査
Ⅱ顕微鏡
3電子顕微鏡—2定量電子顕微鏡
堀田 康明
1
,
渡 仲三
1
Yasuaki HOTTA
1
,
Nakazo WATARI
1
1名古屋市立大学医学部第解剖学教室
pp.1248-1251
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913130
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●はじめに
細胞あるいは細胞小器官レベルで形態学的研究の手段としての電子顕微鏡学は,電子顕微鏡の性能の飛躍的向上と,超薄切片法をはじめとする試料作製技術の改良によって非常に発展してきている.近年になって電子顕微鏡は大学病院や比較的規模の大きな病院の中央臨床検査部門などに設置され始め,実際的な診断や治療のために使用されようとしている.今後,さらに電子顕微鏡が臨床の分野に活用されてゆくためには,従来の<経験的>な電子顕微鏡学から脱却して,客観的なデータを把握するための手段としての<定量電子顕微鏡学>が,この分野において現在以上に必要となるであろう.
さて,人体からの生検材料などを電子顕微鏡を用いて超微形態学的に検索する場合,撮影された画像から細胞小器官レベルでの病的変化の定量的データを得るためには,なんらかの手段を用いて電子顕微鏡画像から得られた画像データを,数値データに変換しなければならない,さらに,二次元的な超薄切片からの情報を適当な数値計算を用いて,三次元的な結果として把握できるようにする必要がある.
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