話題
わが「解剖学」のゆくえ—第10回国際解剖学会議の印象
外崎 昭
1
Akira Tonosaki
1
1山形大学医学部解剖学第一講座
pp.88-91
発行日 1976年2月15日
Published Date 1976/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903106
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国際解剖学会議を開くまで
「日本解剖学会」は,同学会還暦史(1956年)によると,1893年(明治26年)7月20日,東京帝大の田口和美教授ほか12名の先達が,「解剖学会」として創立したものである。2年後の第3回会合において,「深在股動脈の破格」(田口)ほか4題の学術発表がはじめて行なわれた。その創立は,わが国での基礎医学会中最も古いのみならずドイツ解剖学会の創立にも先んじたという。1928年創刊の機関紙「解剖学雑誌」は,今日50巻を数える。また年次総会は,戦争末期の1944,45両年に休止したほかは,毎年全国の医科系大学を会場として行なわれ,今年の80回総会が,表題の第10回国際解剖学会議を兼ねることとなつた。「日本解剖学会」は,もともと解剖学教師の研究集会の性格が強く,学術研究上の特定のテーマを絆とする今様の学会とは,やや主旨が異なる。学歴50年に余る長老の説に新進が耳傾けるという場面が,この学会に関するかぎり,きわめて自然に見られるのである。
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