座談会
基礎医学教育の新しい方向
飯島 宗一
1
,
佐野 豊
2
,
伊藤 正男
3
1広島大学・病理学
2京都府立医科大学・解剖学
3東京大学医学部・生理学
pp.52-65
発行日 1976年2月15日
Published Date 1976/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903103
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伊藤(司会) 近年基礎医学教育が大きな変化の波にさらされ混迷しているように思います。その理由はいくつかあると思いますが,一つには,医学に対する社会的な要請が,以前とは比較にならないほど強くなつており,同時にまた,日本における高等教育全般が非常に一般化してきたことが重要に思われます。そのため医科大学が多数創設され,医学生の数が急激に増加しております。しかし,それに伴う教官数の増加,大学の設備の充実ということが伴わないために,必然的に教育の質が低下してきているのではないかとのおそれがあります。
第2の理由として基礎医学の各分野における最近の発展が非常に激しいことをあげることができます。次々と新しい知識を吸収し,それをよく整理して学生に教育するということは,簡単なことではありません。さりとて生の新しい情報をどんどん学生にぶつけますと,学生のほうが消化不良を起こしてしまいます。いわゆる情報時代の一つの性格がここに出てきております。
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