Japanese
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実験講座
巨大植物細胞の手術とその応用
Surgical operations in giant plant cells and their applications
黒田 清子
1
,
神谷 宣郎
1
Kiyoko Kuroda
1
,
Noburo Kamiya
1
1大阪大学理学部生物学教室
pp.59-66
発行日 1975年2月15日
Published Date 1975/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903036
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植物細胞と動物細胞とは構造的・機能的に多くの共通点をもつているが,植物細胞は一般にセルローズを主成分とする強靱な細胞壁をもち,細胞の大部分の空間は液胞によつて占められていることが多い。また植物細胞とくに藻類などには著しく巨大なものが珍しくないので,他の細胞では期待できない実験が可能となる。たとえば本来の細胞の内容や体制を外科的な手術で人為的に変えたり,細胞内容の一部を外に取り出すというような方法も適切な材料さえ選べば,容易に行なうことができる。
一つの細胞を細い糸でくくつて二つの部分に分ける実験1)や細胞を切つて内容物を外に出す試み2)は前世紀のはじめから行なわれていたが,最近生理学の有力な手段として再び注目されるようになつた。ここには典型的な巨大植物細胞として古くから注目されてきた車軸藻類(Characeae)の節間細胞を用いた細胞手術の方法とその応用について,主として筆者らの経験を中心として述べたい。われわれの用いた手段は,細胞のくくり(ligation)と切断(amputation),およびそれらの組合せである。
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