巻頭言
未来の宝・若き医学研究者
浜島 義博
1
1日本大学
pp.1
発行日 1970年2月15日
Published Date 1970/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902827
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ここ2〜3年来,国内国外を問わず医学の研究とくに生物医学分野の発展はまことにすさまじい。ことに私ども免疫学の研究に携わつている者にとつてはその進歩の速さにはまことに目の廻るような驚異を感じざるを得ない。今までの歴史では,よく科学の躍進というものが世界戦争というような異常事態のときに顕著に進展するという事実を多く見せつげられてきたのではあつたが,今日ではもうこれは当てはまらないようである。人類が進歩したという結果かどうかは判らないが平和な時代の科学の進歩が今日ほど隆盛にかつ超スピードで進展しているのも初めてのことと思われるのである。さてこのような目まぐるしい世界の中にあつて,わが国の医学界ことに研究分野も嘗てないほどの著しい発展がみられていることはまことに同慶の到りである。
しかしながらわが国にはこれからのわが医学界,医学研究界の発展にブレーキをかけるような数々の矛盾の未だに存在していることは否定できない。そしてそれを現在卒直に改めるのでなければわが国医学界の将来に大きなヒビが入ることであろう。
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