海外だより
国際生理学会の印象
入沢 宏
1
1広島大学医学部生理学教室
pp.29-32
発行日 1969年2月15日
Published Date 1969/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902797
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24回の国際生理学会は去る8月25日から31日の間,Washington D. C. のSheraton-ParkとShorehamとの二つの巨大なホテルで行なわれた。元来ならば,この学会の模様をもつと詳細に正確に報告するのが当然であるが,学会自身がちようど日本の医学会総会と同様あまりにも大きすぎて,結局は自分の興味をもつごくわずかのセッションを聞くにすぎず,十分の報告を書くことができないが,学会の前後を通じて感じたことを二,三書いてみようと思う。
国際生理学会に行つて第一に感じたことはわが国からきわめて多くの演題が出されたことで,今までの国際生理学会にはなかつた事のように思う。演題は1460題の多きに及んだので,学会事務局は演題の制限をしたが,日本からの出題は60題以上に及び,これに在外留学中の邦人の50題以上に及ぶ出題を加えると,世界の生理学の約一割の人口が日本で占めていることとなり,6年前のLeidenの学会当時にくらべると,日本自身が発展したことを目のあたり知つた次第であつた。日本からの出題中約40題(60題中)は日本の生理学教室から出題されたものであつたが,この他20題に及ぶものは,関連基礎教室や臨床教室などからの出題であつて,生理学に興味をもつ医学者が多いことを示していた。
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