視座
同種肢移植について
三浪 明男
1
1北海道大学大学院医学研究科運動器再建医学分野
pp.1223-1224
発行日 2001年11月25日
Published Date 2001/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903398
- 有料閲覧
- 文献概要
「同種肢移植」については別の雑誌にも私の所感を述べさせていただきました.今回は違うテーマについてとも考えましたが,再び同じテーマで私見を述べたいと思います.
1964年,南米エクアドルにおいて世界初の同種手移植が試みられ,約2週間で拒絶反応を生じ不成功に終わって以来,同種肢移植に関する多くの動物実験により移植技術の向上および拒絶反応抑制に関する研究がなされ,有効な拒絶反応抑制のための手法や生着期間の延長などの成果が得られております.既にご承知のように,1998年,フランス・リヨンにおいて現実的な治療法として脳死患者からの同種手移植が行われて以来(実際にはこの症例を同種手移植の第1例としておりますが),今日まで私達が渉猟し得た限りでは計10例の同種手(肢)移植が行われています.すべての症例の機能的予後は明らかではありませんが,現時点で再切断に至った症例は,免疫抑制剤の内服を明らかに怠っていた1例のみで,他の症例に関しては拒絶反応はよくコントロールされており,機能回復も予想以上に良好であるという報告がなされています.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.