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結合組織の研究をするにあたつてどんな本を読んだらよいか
水平 敏知
1
1東京医科歯科大 硬研・組織
pp.156-159
発行日 1965年6月15日
Published Date 1965/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902631
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結合組織は骨や軟骨などの硬組織と共に,われわれのからだの中に広く分布する支持組織の一種である。その主成分は膠原線維(collagen,collagenous fiber)や弾性線維(elastic fiber)のような線維成分と,細胞を含む基質から構成されている。われわれが戦前おそわつたような細網(格子,好銀)線維と呼ばれる線維も,その周囲をとりまく物質に多少の差はあるにせよ最近の研究では,電子顕微鏡(電顕)的にも生化学的にもcollagenとして扱われるのが正しいと考えられるようになつて来つつある。このことからもうかがえるように,約20年この方,電顕の応用によつてこの方面の研究も驚くべき進歩がもたらされた。たとえば,collagenを構成する高分子蛋白maculomolecule(いわゆる分子)1コの大きさや性質までも明らかにされ,しかも直接電顕下に観察が可能で,さらに10〜20年前までは線維芽細胞のまわりに,はたしてどのようにしてcollagenが形成されるのかも明確でなく,2・3の有力な説に分かれて論議されていた。
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